美しくも哀しく残酷な百合浪漫 #PJ_Itoh
観賞手段:劇場
今「百合作品」と言うと気軽な日常系にも聞こえるが、90年代少女漫画での少女達の心の交わりは、シビアで病的で切ないものだったよな、と思い返さずにはいられない映画だった。
シチュエーション的には管理社会により衰退していく人間社会、最近では「PSYCHO-PASS」のシビュラシステム、古くは「地球へ…」のSD体制あたりが馴染み深いか。それなりに歴史を持つモチーフである。
管理システムに予め社会崩壊を引き起こす仕掛けが施され、それを起動を止めようとする主人公の物語も多数存在する。劇場版「パトレイバー」1作目などか。
しかしこの作品の肝は、最終的にその犯罪が成立してしまうラストもそうだが、即品全体を牽引するミァハの清々しい青空のごとく突き抜けた狂気と澄み渡る美しさ、彼女を追いかけるトァンのミァハに対する混沌とした感情の想い入れの重さ深さである。
画面は美しくもそこに一片の救いもない。
しかも、最後に銃爪を引かせるのは「愛」。
ここまで美しくも救いの無い悲劇は、TV版「ハーメルンのバイオリン弾き」以来だろうか。愛情深き故に陥る末路も両作品ともに共通している。
これほど救いの無い物語なのに、何故か心を引きつけられる。
正直、のめり込むと精神力がごっそり削られていく作品なので、あまりお勧めできない作品ではあるが、しかしハマる人は重く深くハマるだろう。
覚悟の有る方は、万全のコンディションで堪能していただきたい。
- ストーリー
- 4.5
- 作画
- 4.0
- キャラクター
- 4.5
- 音楽
- 4.5
- オリジナリティ
- 4.0
- 演出
- 4.5
- 声優
- 5.0
- 歌
- 4.0
満足度
4.0
いいね(0)
2015-12-26 11:03:12