にゅまさんさんの評価レビュー

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これこそが当時からのファンの嗜み #THE_ORIGIN

観賞手段:試写会
「ガンダム」がアニメ界にもたらしたものに、「世界」と「歴史」の概念がある。それまでのアニメは作品内で直接描かれている事象だけ理解できれば十分用を為したが、「ガンダム」において描かれるものは長い歴史の一部であり、広い世界の一部である。
 画面外の世界、画面外の歴史。パオロ艦長がシャアの強さを知らせる為に語った「ルウム戦役で5隻のサラミスが…」の下り。ランバラルが木馬内にセイラの姿を見て戦場である事を失念し思い出す幼きアルテイシアの姿。多くは語られなくても、この画面内にいる人達は各々の過去を経てこの場にいるのだ。

 そのことが産み出した本放送当時の「ガンダム」の楽しみ、それはガンダム世界と歴史を理解し、示された断片をパズルの様に繋いで形にしていく亊である。放映後に展開されたガンプラよりも早い、由緒正しい楽しみ方である。
 雑誌アニメックがカラーページの少なさを逆手に取った、第5号でのオニール計画資料を元とした島3号型コロニーの解説と各サイドの配置図記事。そして同誌の新たな設定の情報源となる富野監督への密度の濃いインタビュー記事。アニメック誌やOUT誌の記事の中で「RX-78」「MS-06」等の機体番号設定が生まれたり、今では当然の公式設定とされている事項も当時はそんなやり取りを積み重ねて世界観を作り上げていった。
 みのり書房から出版されたムック「ガンダムセンチュリー」は、そんなガンダムファンの遊びの集大成だった。歴史書、学術解説書の体で語られるサイド3独立運動から1年戦争への歴史、歴史の変換点になったMS開発史、そしてザクバリエーションの設定等であった。

 時を経て、既にアニメから退き歴史物を中心とした漫画家に転身していた安彦氏が、ガンダムのコミカライズに挑むだけでも奇跡の企画だったが、ジオンの遺児兄妹を中心に1年戦争開戦史まで踏み込むと言う。これはあの本放映当時のあの時の遊びの再現だと直感した。ガンダムファンの楽しみの原点の再来だと。オリジンとはよくぞ名付けたものだ。

 そしてアニメ化。しかもまず過去編から展開すると言う。最もオリジンにふさわしいこの章からのスタート。そうでなくては。リアルタイムで「ガンダム」を遊んできたファンにとっては、最もオリジンらしい開幕だ。

 作品は安彦画の再現に実に気を使われていたし、劇場3部作からのBGMを上手く再用していた。キャスティングで意外であった田中真弓の起用も、「ガンダム」だから意外であったが安彦作品と田中氏であれば「白い牙」「巨人ゴーグ」で雄馴染だ。イケメン男児のキャスバルにふさわしいイケメンで凛々しい声だった。
 良いつかみだ。当時からのファンにとって、実に楽しみな宴が始まった。これこそが「ガンダム」の醍醐味なんだよ。
ストーリー
4.5
作画
5.0
キャラクター
5.0
音楽
5.0
オリジナリティ
4.5
演出
5.0
声優
5.0
4.5
満足度 4.5
いいね(1) 2015-11-07 04:27:25

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