しゃんさんの評価レビュー

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現代の戦争アニメ

観賞手段:テレビ
ネタバレ
アニメで戦争を描き続けてきた富野監督が2014年に戦争を描くとこういうことになるのか! という驚きと面白さがいっぱい詰まった作品でした。
次々に出てくる様々なMS、入り乱れる登場人物たちに、飛び交う専門用語。話がわかりづらいことは確かです。
しかし、安易なデジタルの楽さに甘んじることなく徹底的にこだわった撮影処理や、ドラマチックなカット割り、吉田・コヤマコンビによる小粋なキャラデ、そして炸裂する富野節台詞など、体感的な刺激が飛び抜けて大きいアニメ作品でした。

この作品のおもしろさの一つに、キャラクター同士の流動的な関係性が挙げられると思います。教官だった人と死闘し、恋人だった人に部下として従い、級友だった人とぶつかりあい、敵だった人と家族になり…
実際は3つしかない勢力図の中を、無鉄砲なキャラクターたちがあっちこっちへと行き交い、無節操に戦うので、そのややこしさったらありません。
しかし、国VS国の戦争がもはや成立しなくなった現代において戦争を描くには、一人ひとりの戦う理由を語ることが必至だったのだと思います。富野監督のこのあたりの感覚はやはりとんでもなく鋭い。

わかりにくい作品をわかりにくいからと言って退けるのは簡単なことだと思います。けれど、そのわかりにくさを紐解こうと視聴者を試行錯誤させることが、このアニメの目的なのでしょう。
脊髄反射的な「萌え」や「燃え」を提供する作品が多い中、よくぞ作ったと思います。ガンダムブランドはまだまだ形骸化していないと実感しました。
しゃん
しゃん
ストーリー
4.0
作画
4.0
キャラクター
5.0
音楽
4.5
オリジナリティ
5.0
演出
5.0
声優
4.0
5.0
満足度 5.0
いいね(0) 2015-04-19 23:04:22

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