ライター 箭本 進一さんの評価レビュー

»一覧へ

40年前の異世界転生ロボットもの

観賞手段:テレビ、CS/BS/ケーブル、ビデオ/DVD
異世界転生ロボットものを40年も前にやった、尖りまくりのアニメ。
主人公はひょんなことから海と大地の間にある異世界に召喚される。異世界では戦国時代さながらの覇権争いが繰り広げられており、そこでは人が持つオーラ力(ちから)で動くロボット「オーラバトラー」が戦いの有り様を変えつつあった。主人公は強いオーラ力を持つがゆえに、戦争のシンボル「聖戦士」の役割を押しつけられるのだ。
異世界で縁もゆかりもない覇権争いに巻き込まれる主人公。そして、空に妖精が舞い、地では人が戦争に興じる異世界のディテールなど、これだけで異世界転生ロボットものが成立するのだが、総監督である富野由悠季氏は爆弾を放り込んだ。物語も中盤を過ぎた頃、異世界人とオーラバトラーを始めとする兵器は地上(現代社会)へと放逐されるのだ。昆虫のようなオーラバトラーと現用兵器が戦い、地上の近代国家が戦国時代の如き価値観の異世界人と連合する地獄絵図が展開するのである。ファンタジーと現代を真正面からガチンコさせているわけで、この発想は現代の視点から見ても面白い。
今やファンタジーといえばゲーム的な世界観のものがほとんどだが、本作はゲーム以前のファンタジーを見られるという意味でも貴重。そして富野アニメだけあり、人々が繰り広げる愛憎劇は重く深く、大人でないと真の意味が味わいきれないシーンも多い。年を経て見返すべき作品。
プロレビュアー
ライター 箭本 進一
ライター 箭本 進一
ストーリー
5.0
作画
4.5
キャラクター
5.0
音楽
5.0
オリジナリティ
5.0
演出
5.0
声優
5.0
5.0
満足度 5.0
いいね(0) 2023-05-31 16:38:48

ログイン/会員登録をしてコメントしよう!