にゅまさんさんの評価レビュー

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これでも売れてしまうのだなぁ。

観賞手段:テレビ
非提督ながら、話題作なので一通り視聴。

 草川監督は「なのは」シリーズを見る限り、登場キャラを絞って個人を深く描く事に長けた作品作りをする方で、それ故にフェイト中心の1期、はやて中心の2期に比べてキャラを増やしすぎた3期の評価は劣ります。それ故、情報を聞く限りキャラクター数が多いこの企画に草川氏が相応しいのか危惧してましたが、その通りになったと思えます。

 また、元々展開的には自由度の多い、逆に見ればこれと言って軸となるストーリーの無いブラウザゲー、破損して装備が外れるサービス画像、史実から見ると結局沈んでしまう艦艇達の悲劇設定、そして既に溢れている二次創作、そして艦艇戦のダイナミックな映像表現で「蒼き鋼のアルペジオ」に先行された事。
 知れば知るほど、アニメ化に対するハードルが高い作品と感じてました。
 超人気タイトル、約束された覇権タイトル、等と一部で高まる事前人気に、正直「草川氏はさっさとなのは映画3作目制作に戻るべき」と思ってました。

 まだ周囲のスタッフに恵まれれば違った展開もあったでしょうが、今回は脚本陣も良い仕事が出来なかったようで、またゲームスタッフからの注文や、一部の二次創作発のネタもむやみに受け入れ過ぎた様で、個々に面白い部分はあっても全体に一貫したテーマも感じられず、凡庸な結果に終わってしまいましたね。
 またストーリー面以外でも、戦闘シーンは無意味に棒立ちのシーンが多く、特に被害を受ける際は殆ど無防備なのが不自然でした。艦むす達が擬人化されて戦闘する意味が見えない演出に、艦隊戦の迫力に変わるメリットは見当たりませんでした。

 結局好評だったのは戦闘の関わらない日常話だけであり、しかしそれでは二次創作で既に公式も同人も山ほどあります。アニメ版としてはそう言った二次創作以上の立場が求められましたが、そのハードルは高すぎました。

 ネット上では不満の声ほど大きく目立つ事は承知していますが、はっきり言ってこのタイトルは元々アニメ化に向いていないのではないでしょうか。
 日常話だけで良いという提督諸氏の声もありますが、艦これアニメ単独で十分に評価できる作品として作り上げるとしたら、むしろ原作を無視したオリジナル要素満載で行くしかない気がします。もちろん「これは艦これじゃない」と言われてしまうのでしょうが。

 しかしそれでも最初から2期制作が決まっているところが流石角川ですね。草川監督も続投で、円盤も2万枚狙える勢い。安い物ではないだろうに、「艦これ」と言うだけで買うのか、艦むす達が動いていれば満足なのか、御布施なのか…。売れ行きと質とは別とは言え、やるせない物がありますね。

 個人的に上坂すみれさんは応援していますが、上坂さんの声優としての代表作が「艦これ」とされるのは納得の行かないモノがあります。
 演技自体に不満は無いですが、スタッフに導き出されたより以上の演技が見られたとは思えませんでした。
にゅまさん
にゅまさん
ストーリー
1.0
作画
4.0
キャラクター
3.5
音楽
3.5
オリジナリティ
2.0
演出
2.5
声優
4.0
3.5
満足度 1.5
いいね(0) 2015-04-12 12:52:27

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