最初からファンが多い作品ならではの苦悩
観賞手段:テレビ
艦隊これくしょんは、同名のブラウザゲームの設定、決まり事、放送前から既に大勢いるファンの期待と不安によってがんじがらめにされている気の毒なアニメです。ストーリーはアニメオリジナルなのでそれが如実に表れています。
艦これファンのためのファンサービスだと思えば納得ですが、艦これのゲームとキャラクターにあまり愛着のない人から見れば、何をやっているのかよくわからない、退屈なプロットだと感じることでしょう。
ゲームでは史実に基いて軍艦を擬人化しているようですが、キャラクターの個性をとにかく際立たせるために恐ろしいほどの記号化が行われています。
こういったゲーム側の設定が、アニメの制作陣を苦しめている部分も多いのでしょうね。(各キャラの代表的な台詞をたくさん入れていたり)
結局、同人作品であれば喜劇でも悲劇でも受け取る側の取捨選択が可能なので問題ないのでしょうけど、最初から多くのファンがいて、大金をつぎ込むことになるアニメではなるべく大勢の人が納得できる「当たり障りのないストーリー」にする必要があったのだと思います。
艦娘が同名の軍艦の運命をなぞっていて、史実を再現してしまうのかどうかという展開には作品の可能性を感じましたが、それでも今回のアニメの構成とストーリーはいくらなんでも馬鹿馬鹿しすぎた。あまりに世界観が狭く、各話のつながりが十分ではなかったし、日常的なシーンは只々眠気を誘うだけでしかなかった。
映像的な部分に少し言及すると、日常的なシーン(?)では作画、戦闘シーンでは作画と3DCGを組み合わせていて、許容範囲内の違和感の少なさだったように思えます。アクション自体は良く出来ていて見応えがありました。カメラワークの自由度が高いのは3DCGの強みですね。
ただし、戦闘をしてない場面で3DCGを使っているカットは違和感しかなかったです。これはやめるか改善するべきです。
キャラクターデザインを統一したのは良い判断だったのではないでしょうか。
艦隊これくしょんのアニメは駄作ではないと思いますが、手放しで褒められるほどでもないというのが感想です。
続編の制作が決定しているということなので、本作がどこに帰結するのかはとりあえず見ておこうかと思います。
昨今、漫画や小説ではなく、人気のゲームがアニメ化されることが増えていますが、中核となるストーリーがほとんどないゲームのために作られたキャラクターたちにストーリーを持たせることの奇妙さや矛盾を感じてしまうことが多い気がします。
- ストーリー
- 2.0
- 作画
- 4.0
- キャラクター
- 2.0
- 音楽
- 4.5
- オリジナリティ
- 3.0
- 演出
- 3.0
- 声優
- 3.5
- 歌
- 4.5
満足度
2.5
いいね(1)
2015-03-27 13:34:26