しゃんさんの評価レビュー

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音にこだわりを感じる共感覚的アニメ

観賞手段:ビデオ/DVD
ネタバレ
吉浦監督の作品と言えば、無機質さすら感じさせるような精緻な絵柄と、繊細な人物描写のバランスが絶妙だという印象があります。『アルモニ』は、それに加えて、音が非常に凝った作品だと思いました。こういう細部にまで作り手の意図を感じられるアニメは観ていて楽しいですね。

リアルなスクールカーストの様相を冒頭数分で描ききり、クラス内のキャラクターを浮かび上がらせ、流れるように本題へと入っていく。このあたりの滑らかさは見事です。30分に満たない尺をまるで無駄なく使いきっていると思います。
主人公の本城の自室シーンを除けば、キャラクターたちはほとんど学校から出ることなく、衣装も常に制服です。その制約が、彼らの生きる世界の狭さを暗示しているようであり、また樹里の夢世界の空の広がりをより強く感じさせます。
本城の「嘘」には賛否両論があるでしょう。しかし、彼の言葉に文字通り瞳を輝かせる樹里と、切々たる樹里へのあこがれを募らせる本城のふたりは、なんとも愛さずにはいられません。
この作品が終わったあとも、彼らの物語は展開していくのだと感じさせるような、しっかりした手応えのあるストーリーだと思います。
吉浦監督は、作品ごとに如実に腕をあげますね。
本城の部屋の壁に『サカサマのパテマ』のポスターが貼ってあるのにくすりとしました。
しゃん
しゃん
ストーリー
4.5
作画
4.5
キャラクター
3.5
音楽
5.0
オリジナリティ
5.0
演出
4.5
声優
4.0
5.0
満足度 4.5
いいね(0) 2015-04-19 12:14:08

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