【作画】
良い
【ストーリー】
10年越しのアニメ化の割りに、余りに中身が薄っぺらく、偽善に満ちた作品。
これなら、企画の状態で封印しておいた方が良かったのでは。
-薄っぺらい、偽善に満ちていると思う理由-
人類の愚かさやエゴを描き出すことは良い。だが、それらへの反証として、
年端もいかぬ主人公である少女が、「人類はそんなに愚かでもなく、
これから先違う道を歩める」。また、「人が人類を滅ぼす権利もない」などと
言っても説得力に欠ける。その前に、それらの言葉自体、アニメではよく
耳にする美辞麗句ではある。だが、それは作り手が自分達はやさしいん
だと、言い聞かせるため、それらの言葉にすがるため、安易に使った
としか、受け取れない。
実世界の人類の歴史を振り返れば、そんな言葉は幻想に過ぎず、平和を
人類が望んでいたとしても、それも本当のやさしさからではなく、エゴから
望んでいるに過ぎないと解る。
そして、本当に作り手が実世界の現状を憂い、今作を作っているのなら、
美辞麗句ではなく、どう人を律し、平和な世界を築けるのか、過ちを繰り
返さないで済むかの作り手なりの考えを描いているはずと思うため。
また、これから先の世の中では地球を含む全ての生物のことに配慮して
いかなければならないのに、人類同士だけでの権利を説き、人類以外の
生物については何も触れていないため、薄っぺらい、偽善に満ちていると
思った。
-その他-
世界が絶望の淵に立たされている理由がいまいち分からない。
理由として、≪シノビ≫というものが生まれた原因が、実は小惑星の衝突
ではなく、人類自身の愚かな行為により、生み出されたものだと解釈した。
だが、それを描き出している部分がちょこっとラストの方で描かれただけ
だったので、実際は何だったのか、きちんと咀嚼できなかったからだ。
作り手が言いたかったことが、実世界の現状打破等にあるのなら、
もう少し、丁寧に描き出してほしかった。