The Animation、The Naturalと続いてきたARIAの最終章「The Origination」では、前2作の両方で見られた心地良さと心温まるストーリーと雰囲気を維持しつつ、これまでのARIAとは大きく異なる一面を見せてくれます。
主要なキャラクター(特に水の三大妖精)が今に至るルーツとなった出来事、そして、キャラクターの大きな成長です。
前2作と異なり、The Originationでは「終わり」に近づくにつれて、どんどん物語が盛り上がりを見せていき、キャラクターも顕著な成長を見せます。ARIAシリーズ通して主人公たちが目標としてきたことに近づいていくわけです。
また、各話のエピソードも感情的に惹きつけられるものが多く、流れるように進んでいきます。これまで何度も見てきたキャラクターたちですが、The Originationで語られるエピソードは彼女らを新鮮に見せてくれるため、とても見やすいです。もちろん、SDキャラ化するコメディ的な面白シーンもなくなっていませんのでご安心を。
重要なのは自然な流れの中で起こっているということです。何か突発的に悲劇や困難に立ち向かうというような展開ではありません。シリーズ全体の流れをしっかりと汲んでいます。
The Originationだけ見てもだめで、合計4クールの最終章としてあるからこそ素晴らしく感じるのでしょう。各キャラクターをよく知っているからこその感動や喜びがあります。
ARIA The Animationのレビューで、ARIAは単なる癒し系アニメではないという風に書きましたが、それを最も感じられるのが本作でしょう。
こういった素晴らしいストーリーに加え、The Originationでは誰が見てもわかるくらい映像のクオリティがアップしています。
キャラクターデザインはそのままに、キャラクターの魅力もネオ・ヴェネツィアの魅力も数倍増しています。
相変わらずキャラクターとそれを演じる声優陣の演技には文句のつけようがありません。ここまで登場人物ほぼ全員が、嫌味の全くない愛すべきキャラクターなのはとても珍しい。本当に良く性格付けと心情描写が行われています。
たった1つ気になったことはエンディングテーマです。
できればROUND TABLE feat. Ninoの曲にしてほしかったです。
原作の天野こずえさんはもちろんですが、佐藤順一監督、ハルフィルムメーカー及び制作スタッフ、キャストの方々は、ARIAシリーズで本当に素晴らしい仕事をしました。
あらゆるディレクションが正しかったのではないかと思います。
前二作の良さとARIAに必要なものを全て引き継いだまま、より感情移入できるプロットによってシリーズの幕をとても綺麗に下ろすことができています。
こんなにも楽しく、癒され、心温まる、美しい作品を作ってくれたことに感謝です。