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ゲーム・アニメの主題歌やサウンドトラックを中心に展開している音楽レーベル「ランティス」が、10月30日(水)の正午からオンキヨーの音楽配信サイト「e-onkyo music」にてハイレゾ音源(高音質楽曲)の配信を開始する。これに先駆け、「秋のヘッドフォン祭 2013」(10月26日~27日/東京・青山)で試聴会が実施された。27日に実施された一般向けの試聴会は定員オーバーになる盛況ぶりで、高音質楽曲への注目度の高さがうかがえた。ここでは、ハイレゾ音源が配信されるまでの経緯や、実際に聞いてみた感想を交えつつ、試聴会の様子をお届けしていこう。
試聴会では、オーディオビジュアルライター・野村ケンジ氏が進行を担当し、ゲストにはランティスの関連会社アイウィルのプロデューサー・佐藤純之介氏が登場。まず両氏は今回のハイレゾ配信について、「“現場の音”をファンの方にも聴いて楽しんでもらいたい。その思いで実現した企画です」と説明。
佐藤氏は、以前から高音質配信に関心があったという。本来の音を聴いてもらえることはもちろんだが、ユーザーの再生環境がここ数年でグレードアップし、CD以上の音質を手軽に聴けるようになったことが大きいという。
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アイウィルの佐藤純之介プロデューサー 年間200~300ほどの楽曲に携わっている
TVアニメ第2期が決定したばかりの「ラブライブ!」では主題歌や挿入歌、TVアニメ「バカとテストと召喚獣」のOPなどを歌う麻生夏子さんを担当する |
もともと、佐藤氏本人は、キャラクターの性格や歌い手の体調をベースに、ときにはマイクの真空管の温かさなどを考慮しつつ、「200本」ものマイクをたくみに使い分けるオーディオ・機材マニア。たとえば、「ラブライブ!」では、ヒロインたち9人が「μ's(ミューズ)」というアイドルグループを結成し、歌は全員のユニゾンやソロ、複数人パートで構成。ボーカルだけで「70人分もの声を使っている」(佐藤氏)という。
こうした事情を知らずにランティスのアニソンはクオリティが高いと感じていた野村氏が、知人を通じて佐藤氏と出会い、実際の機材や編集を間近で見たり、スタジオマスターの音を聴いて興奮。この音ならファンも喜ぶと思い立ち、佐藤氏をはじめとする関係各社の協力を得て実現するまでに至ったそうだ。
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オーディオビジュアルライター・野村ケンジ氏 |
なお、ランティスのハイレゾ配信第1弾となる「ラブライブ!」は24bit/48kHzで配信される。これはCDマスター(16bit/44.1kHz)をアップコンバートしたものではなく、24bit/48kHzの制作環境そのままにミックスダウン。「スタジオマスターをそのままお楽しみいただけます」(佐藤氏)という。また、「『ラブライブ!』のハイレゾ音源は、そのままでも楽しめますが、CDに比べて音圧が低いのでイコライザーを少し加えることもできます。CD音源でEQを加えるとすぐ音割れしてしまいますが、ハイレゾ音源なら自分好みの音にチューニングできますよ(笑)」とのこと。
会場では「ラブライブ!」の楽曲「夏色えがおで1,2,Jump!」「もぎゅっと"love"で接近中!」「Snow halation」を再生。実際に試聴して感じたのは、誰が歌っているのかがCDよりわかりやすいこと。1つ1つの音がはっきりしているものの、極端に主張することがない、全体的にまとまりのある音に仕上がっていると感じた。ちなみに、「μ's」のシングルにはアニメーションフィルム(以下、MV)が付属しているが、ステージでのフォーメーションやカメラワークをもとに、音像を移動させたり入れ替えたりして、空間の奥行きを表現しているという。「ハイレゾ音源を聴きながらMVを見ると、新しい発見があるかもしれません」(佐藤氏)と、別の楽しみ方も提示した。ちなみに、野村氏は「楽器が生か打ち込みかも分かりやすい」という。
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プリメインはORB「JADE Fyra」 |
スピーカーはELAC「BS 312」 |
11月下旬に配信となる第2弾音源を歌う麻生夏子さんは、佐藤氏がデビューからプロデュース。大半の楽曲を担当しており、「その時の最新のソフトと機材で作り込む」(佐藤氏)姿勢で挑戦。楽器のセレクトに至るまでこだわり、人間の可聴域では聴こえない、4Hzまで出ているアナログシンセサイザーを使うなど、24bit/96kHzで音を詰め込んだ。配信も24bit/96kHzになる予定で、本来イメージしていたサウンドそのものを体験できる。なお、こちらは「スタジオマスターの段階でギリギリの調整をしているので、ハイレゾ音源でもEQはほとんど調整できない」(佐藤氏)とのこと。
なお、一般向けの試聴会では、サプライズとしてTVアニメ「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ」OPを歌うChouCho「starlog」や、TVアニメ「ひだまりスケッチ」シリーズのEDを歌うmarbleのハイレゾ音源も披露。これらのハイレゾ音源の配信に関しては不明だが、「みなさんの声をもとに前向きに検討していきたい」(佐藤氏)と語った。
「ラブライブ!」の高音質楽曲については明日10月30日正午から配信がスタートする。具体的な価格は不明で、ジャケットやライナーノーツの付属なども明らかになっていないが、ファンアイテムとしては持っておきたい一品だ。