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2012年10月27日より東映系で上映中のCGアニメ映画「009 RE:CYBORG」。
今回のインタビューでは、監督を務めた神山健治さんに、巨匠・石ノ森章太郎の名作「サイボーグ009」を現代の視点から描いた本作の魅力をお聞きしました。
■「009 RE:CYBORG」-STORY-
物語の舞台は、2013年の現代。
ロンドン、モスクワ、ベルリン、ニューヨーク…。大都市の超高層ビルが次々と崩壊するという、同時多発爆破事件が発生。
いつ、誰の意志で計画されたかもわからない無差別テロは、世界を不安とパニックへと陥れていた。
かつて、世界が危機に陥るたびに、人々を救った9人のサイボーグ戦士がいた。
その役目を終え、各々の故国へと帰っていたゼロゼロナンバーサイボーグは、生みの親であるギルモア博士からの呼びかけによって、再び集結しようとしていた。
一方、ゼロゼロナンバーサイボーグのリーダーである日本人、009こと島村ジョーは、過去の記憶を消し、東京・六本木でひとり、暮らしていた。
サイボーグ戦士最後の切り札であるジョーは、ギルモア博士によって30年間、3年に一度、記憶をリセットされ、高校3年間を繰り返していたのだ。
全世界同時多発爆破事件の犯人とは?
ヒーロー不在の時代、彼らは、誰がために戦うのか?
彼らが立ち向かう、新たな時代の「正義」とは?
ジョーの記憶が呼び覚まされた時。
ゼロゼロナンバーサイボーグの新たな戦いが始まる!
■「009 RE:CYBORG」神山健治監督インタビュー
-----本日はよろしくお願いいたします。まず最初に、本作の監督を担当されることになった経緯を教えていただけますか?
神山監督:当初、私は脚本のみ担当する予定で、監督は押井守さんが担当される予定でした。しかし、「サイボーグ009」である以上エンターテインメント要素が必要でしたが、押井守監督はご自身の作家性の強い作品を作りたいということで降板され、私が監督をすることになりました。
-----冒頭で30年の時を経たゼロゼロナンバーサイボーグ達が集結しますが、原作の設定や彼らが30年間何をしてきたのかについては、あまり語られないままストーリーが進行していきます。どのような意図でこの展開を考えられたのでしょうか。
神山監督:原作は未完のまま30年近く経っていて、その間に何があったのかは誰も知らない。本作でも直接は描いていませんが、原作で描かれなかった30年間を全部含めて描いています。昔からのファンには、劇外の部分を想像してもらいながら観ていただいて、初めて「009」を観た人たちには、原作を知らないからといって困ることにはならない疑問として提示しておくという形でスタートさせています。
原作の設定を一から全部説明していくのは一見親切なんですが、まったく知らない人からすると「昔やってた作品をまた一からやるなら観なくていいな」ということになってしまいますし、逆に昔からのファンには、しっかりと原作を踏襲したほうが「自分たちの知っている「サイボーグ009」をちゃんと作っているのかな」と関心は持っていただけると思うんです。ただ、原作を踏襲したうえで新しい部分がないと、やはり「これは自分たちの知っている作品だから、観なくていいや」となってしまう。
-----私自身、原作付き映画には「原作を知らないと楽しめないかもしれない」という先入観を持っているかもしれません。
神山監督:オリジナル映画でも、初めて観るときは登場人物のことを知りませんよね。たとえば映画「マトリックス」を初めて観たとき、主人公のネオのことは何も知りませんが、徹夜が続いているシーンで「ああ、この人はいつも徹夜をしている人なんだな」、眠い顔をしたままいいスーツを着て、IT企業に出社しているから「徹夜して夜は不良と付き合っているけど、昼間はエリートプログラマーなんだな」ということがわかってくる。
-----たしかにそうですね。
神山監督:同じように「009RE:CYBORG」も、最初は“ゼロゼロナンバーズは30年前に何かをしていた人たち”という程度の認識でも作品に入っていけるだろうと考えました。「009」という歴史のある原作があるために、「原作を知らないといけないんじゃないか」と思われて、せっかく「観ようかな」と思った人をはじいてしまうのはもったいないと思うので、意図的にこのような演出にしています。
-----昔からのファンだけでなく、初めて見る人にも楽しんでもらうための演出だったんですね。最後に、アキバ総研読者に向けてメッセージをお願いいたします。
神山監督:「石ノ森先生の未完の傑作である「サイボーグ009」を、先生が描こうとしたテーマ等を引き継ぎつつ劇場作品として今回蘇らせることができました。また、今作は今までに観たことのない3D映像になっていると思いますので、そこにも期待して劇場に足を運んでいただけたらと思います。よろしくお願いします」
-----本日は、お忙しい中ありがとうございました。
(C) 2012「009 RE:CYBORG」製作委員会
配給:Production I.G/ティ・ジョイ