最新のガンダム食玩は、単色成形の組み立てキット! 造形物としての魅力で勝負する「ガンダムアーティファクト」の企画意図とは?【ホビー業界インサイド第66回】

2020年12月05日 11:000

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オリジナルデザインのシルエットを生かしながらも、立体栄えするディテールを!


宮脇 14年ほど前、弊社の食玩で「ガンダムADAPT」というシリーズがありました。メタスなどは建機のようなアレンジがされていて、モビルスーツの工業製品的アレンジの走りのような商品でした。今回の「ガンダムアーティファクト」も少し似た傾向を持っていますが、55mmというサイズの中で形状やディテールをアレンジしている点が新しいと思います。「アーティファクト」も「ガンダムADAPT」と同じく、イラストレーターの木下ともたけさんにデザインをお願いしました。

── ガンプラでもパネルラインなどのディテールを入れた製品がありますが、そちらとも少し違う個性的なアレンジですね。

宮脇 そうですね、主流になっているアレンジの方向性とは、確かに異なります。あまり優等生的ではない、亜流と言ってもいいアレンジかもしれません。しかし、各モビルスーツのシルエットは大きく変えていません。たとえばリック・ディアスは、黒か赤の設定カラーでベタ塗りすれば、オリジナルデザインと見分けがつかないと思います。しかし、この「アーティファクト」では、ヒジとヒザに円形のユニットを入れました。この円形の関節は、「アーティファクト」だけの統一された記号です。こうした新しい解釈のディテールを入れることによって、見慣れているリック・ディアスがまた少し新鮮に見えてくるんじゃないかと思います。

── 逆に、「これだけはやめよう」と気をつけた部分はありますか?

宮脇 先ほども申し上げたとおり、オリジナル設定に付いていないパーツを付けたり、大きくシルエットを変えてしまうようなアレンジだけは避けています。強いて言うなら、ナイチンゲールは、オリジナルとは解釈の違う部分もあります。ともすればモビルアーマー的に見えてしまう点、また両肩から伸びる巨大なバインダーがネックでした。製品として映えるように、ちょっとサザビーの要素を加えながら、鳥足のようなアレンジにしてあります。



── そうしたアレンジの方向やディテールの解釈は、どのように決めていったのですか?

宮脇 まず、55mmというサイズを意識せず、1/144ぐらいの大きさをイメージして、木下ともたけさんに製品化用の絵を描いていただきました。そのデザイン画を元に原型師さんと一緒に、省略するディテール、あるいは逆にもっと詰められるディテールを取捨選択して仕上げていきました。
また、パーツ分割もディテールに関係してきます。ランナーに配置してみると、パーツを金型から抜くために、どうしても省略せざるを得ないディテールが出てきます。そういう場合は、省略しないためにどこでパーツを分割するのか考えねばなりません。むやみにパーツを増やすわけにはいきませんから、頭を悩ませました。

── 組み立てには接着剤を使わないそうですが、難易度は?

宮脇 小さなパーツが多いので、組み立ての難易度は、かなり高いです。Hi-νガンダムの頭部を例にとると、頭の左右側面、フェイスと3パーツもあります。平均して、パーツ数は50以上です。また、パーツが小さいのでゲート跡を処理していただかないと、きれいに組み立てられません。ですから、ニッパーの使用を推奨しています。戦隊物の「ミニプラ」シリーズのように、手でパーツを外して手軽にパチパチ組めるかというと、そこはかなり雰囲気が違います。


── 組み立てキットとして、かなり精密だということですね。塗装してカスタマイズするような遊びには、向いていますか?

宮脇 素材は、ABS樹脂です。塗装できないこともありませんが、それなりに知識や技術が必要かと思います。ABS樹脂を選んだ理由は、流動性にすぐれていて安定しているからです。特に今回の場合、細かな部分まで成形する必要があるので、樹脂の流動性がキモになってきます。

── すると、塗装したりカスタマイズしたりするガンプラとは別系統の組み立てキットととらえたほうがよさそうですね。

宮脇 はい。低価格ですので、たくさん数を揃えて、ディスプレイして楽しむ……まさに、カバヤさんの「ビッグワンガム」のように、食玩の原点に戻ったシンプルな商品です。また、ブラインドボックスで販売するわけではありませんから、好きなモビルスーツを選んで買えます。

――そういえば、なかなか渋いラインアップですよね。次に、ラインアップについて聞かせてください。

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