ハセガワ製、「クラッシャージョウ」ファイター1から考える“キャラクターモデルとスケールモデルの最適な距離感”【ホビー業界インサイド第44回】

2019年02月23日 11:300

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ひとつの金型に、2つの色の樹脂を流すには……?


── ハセガワさんというと飛行機プラモのイメージがあるのですが、ファイター1もインテーク周辺が別パーツで、シャープにできていますね。

早川 インテークの奥がすぐ壁になっていて、黒で塗ってもらうのは避けたかったんです。ですから、パーツ分割して立体的にしています。やはり航空機ですから、翼断面の形も気にしました。

── 表面の細かなパネルラインは、何か参考にしたのでしょうか?

早川 弊社から出ているVF-1(「超時空要塞マクロス」)は、ファイター1と同じ河森正治さんのデザインでスケールも同じ1/72ですから、ディテールの参考にしました。実在の航空機ですと、米海軍の戦闘機「F7U カットラス」はファイター1と形が似ているので、それらを参考にしながらアレンジを加えていきました。

── 色分けはランナー単位で、白・青・グレー・黄色、ほかにキャノピーが2色、ベース用のクリアですね。

国分 はい、キャノピーは塗装しない方のために、クリアピンクも付いています。パーツ状態で見るとピンクですが、コックピットに被せるとパープルに見えるんです。そこは、ちょっとした売りですね。


── ランナーが色ごとに別々だと、生産管理に苦労されるのではないでしょうか?

国分 青とグレー、黄色と白が、それぞれ同じ金型です。さらに、フィギュアとキャノピーが同じ金型です。ですから、計3個の金型でパーツ成形しています。

── すると、同じ金型に、違う色を流しているのですか?

国分 そうです。“制限”と言うのですが、ある部分まで青の樹脂を流したら、その経路を止めて、今度はグレーの樹脂を流します。ただし、同じ金型に同時に別々の色を流すことはできないので、1色ずつ流しているわけです。

早川 1色ずつ流すので生産の時間もかかりますし、ランナー枠が分かれることで、袋詰め・箱詰めの手間も増えます。

── ハセガワさんのプラモデルは、すべてのパーツがひとつのビニール袋に入っていますが、箱を開けると何色かのランナーがパッと目に入ってきますよね?

国分 はい、見映えは気にしています。ライン上のセットの仕方については製造部とも話をして、アッセンブリーのベルトの流し方と箱を開けたときの見映え、両方を考えています。

── 機首パーツは、成形した後に90°曲げてありますよね?

国分 はい、機首のような尖ったパーツは同じランナーを重ねたときに、どうしてもかさばってしまいます。ですから、成形してやわらかい状態のとき、手で曲げて梱包しています。

早川 曲げることが設計段階でわかっていましたから、ランナーとパーツの間のゲート部分を長めにしてあります。ゲートが短いと、曲げたときに切れてしまったりパーツが歪んでしまいます。縦抜きのパーツの場合、たまにそういう処理が必要になってきます。


── コックピットの座席は、しっかりと嵌めこまないとキャノピーが引っかかってしまいますね。

早川 1/72のフィギュアを乗せることが前提で、なおかつ外観を維持しようとすると、プラの肉厚はこれが限界なんです。やはり、機首のラインにもっとも苦労しました。断面がオニギリ型なんです。もしスナップキットでなければ、キャノピーの裏側のコンソールも再現したかったです。どうしても、成形段階でヒケが出てきてしまいますので、今回は省略しました。

国分 ここまでスナップキットで設計してきたんだから、何としてでも接着は避けたかったんですよね。

── 四角いダボがカチッと合うと、組み立てていて、とても気持ちがいいです。

早川 そう言っていただけるとうれしいのですが、できれば、四角ではなくて丸いダボにしたいんです。なぜなら、丸いほうが調整が楽だからです。勘合がキツすぎたとき、四角いダボだと調整が難しいんですね。丸いダボはエジェクタスリーブという金属の筒を使って、成形したパーツを金型から押し出すので、離型もいいんです。四角いダボを設けてしまうと、そう簡単にはいかないんです。スナップキットをつくる以上、そんなことも言っていられないのですが……。

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