初画集発売直前! アニメーションクリエイター、湖川友謙から教わる“発見”の面白さ

2017年06月28日 12:000

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「伝説巨神イデオン」、「戦闘メカ ザブングル」、「聖戦士ダンバイン」……1980年代前半、「機動戦士ガンダム」で大ヒットを飛ばした富野由悠季監督の作品で、ときに艶やか、ときにコミカルなキャラクターをデザインしつづけた湖川友謙氏。サンライズ作品でその独創的な絵柄を知られる前は、わずか20代で劇場大作「さらば宇宙戦艦ヤマト」の総作画監督を務めるほどの敏腕アニメーターだった。
今月2017年6月30日、湖川氏のサンライズ作品を集めた「湖川友謙 サンライズ作品画集」(一迅社)が発売される。初めての画集発売を機に、独特のアオリの構図からメカニックデザインまで、気ままに語っていただいた。


お富さん(富野由悠季監督)との出会い


── 最近の湖川さんのお仕事というと、「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」(2017年)の原画がありますね。

湖川 お手伝い程度です。ズォーダー大帝とその周辺だけ。ファンも喜んでくれているし、ズォーダー大帝の作画作業は今後もつづけます。

── ちょっと前だと「さよなら絶望先生」(2007年)、「俗・さよなら絶望先生」(2008年)の作画監督や絵コンテも手がけられていますね。これはどういう経緯で?

湖川 それが、よく覚えてないんです。シャフトとは、以前から付き合いはあったのですが……人手が足りなかったんじゃないでしょうか。原作の漫画家(久米田康治)さんが、私のファンだとは聞きました。番組のエンドカードを頼まれて、絶望先生と(「聖戦士ダンバイン」の)マーベル・フローズンを描いたんです。すると、原画が戻ってこない。「原作者が欲しがっていたので、あげちゃいました」と言うんです。とてもよろこんでいたそうなので、それなら仕方ないかなって(笑)。


── 湖川さんのアニメ業界でのキャリアは、東京ムービーから始まるんですよね。

湖川 そう、最初に関わったのは「巨人の星」(1968年)でした。

── 東京ムービーの次が、タツノコプロですね。

湖川 タツノコの社員になったわけではなく、外注です。最初の仕事が「アニメンタリー決断」(1971年)で、「ヤッターマン」(1977年)まで何本か原画をやりました。「破裏拳ポリマー」(1974年)のとき、お富さん(富野由悠季監督)と会ったんです。彼が演出していた回が、たまたま私の担当話数でした。それ以降、別の作品でも「作画やってくれない?」と、お富さんから電話が来るようになりました。いつも、打ち合わせは5分ぐらい。そのあと3時間ぐらい、喫茶店でアニメに関する雑談をえんえんと続けていました。ギャグ物をやりたいとか、実写映画だとこうなのにアニメではこうだよねとか……その時間が、とても楽しくてね。

── 富野監督の「無敵鋼人ダイターン3」(1978年)にも参加されていますね。

湖川 最初は、キャラクターデザインを頼まれていたんです。だけど当時、何か私用があって、1週間ぐらいまったく時間がとれませんでした。1週間後にスタジオへ行くと、もう味方側のキャラクターができていたので、私は敵キャラクターだけ依頼されました。「ダイターン」の敵キャラって、ちょっと「イデオン」っぽいでしょ? だから、もし味方側も私がデザインしていたら「ダイターン」の世界観は大きくリアル寄りに変わっていただろうし、同じことをやりたくないから、「イデオン」のキャラクターデザインはさらに変わっていたでしょうね。

── “同じことをやりたくない”から、「戦闘メカ ザブングル」(1982年)、「聖戦士ダンバイン」(1983年)と、どんどんデザインが変わっていくわけですね。

湖川 「イデオン」は宇宙間の戦争モノですよね。アニメでは、ドイツ軍をモデルにした軍服が多いのです。第二次大戦時、ヒトラーが国中から選りすぐりのデザイナーを集めて、軍服をデザインさせたという話があります。ですから、バッフ・クランの軍服は着物、振袖にしてみました。とても動きにくい軍服だけど(笑)。とにかく何か変わったことを考えないと、周囲に刺激を与えられない気がしていました。


── 「ザブングル」のネジのような目のハイライトも、“変わったこと”のひとつですね。

湖川 あのハイライトは、ひらめきですね。目のハイライトなんて、四角でも三角でもいいわけでしょ? 取材のたびに「なぜネジのようなハイライトなのですか?」と聞かれるんですけど、ひらめきだから説明のしようがありません。

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関連作品

伝説巨神イデオン

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放送日: 1980年5月8日~1981年1月30日   制作会社: サンライズ
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(C) サンライズ

戦闘メカ ザブングル

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放送日: 1982年2月6日~1983年1月29日   制作会社: サンライズ
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(C) 創通・サンライズ

聖戦士ダンバイン

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キャスト: 中原茂、土井美加、あたか誠、高田由美、川村万梨阿、色川京子、大木正司、速水奨
(C) 創通・サンライズ

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち

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上映開始日: 1978年8月5日   制作会社: オフィスアカデミー
キャスト: 富山敬、一龍斎春水、納谷悟朗、仲村秀生、青野武、野村信次、安原義人、神谷明、林一夫、永井一郎、緒方賢一、木村幌、ささきいさお、伊武雅刀、梶哲也、峰恵研、小林修、小宮和枝、大塚周夫、阪脩、村越伊知郎、曽我部和恭、富田耕生、市川治、矢田耕司、上田ミユキ、広川太一郎
(C) 東北新社 Licensed by東北新社

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上映開始日: 2017年2月25日   制作会社: ジーベック
キャスト: 小野大輔、桑島法子、鈴村健一、大塚芳忠、菅生隆之、神田沙也加、手塚秀彰、てらそままさき、神谷浩史
(C) 西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

さよなら絶望先生

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放送日: 2007年7月7日~2007年9月22日   制作会社: シャフト
キャスト: 神谷浩史、野中藍、井上麻里奈、谷井あすか、真田アサミ、小林ゆう、沢城みゆき、後藤邑子、新谷良子、松来未祐、上田燿司、水島大宙、矢島晶子
(C) 久米田康治・講談社/さよなら絶望先生製作委員会

俗・さよなら絶望先生

俗・さよなら絶望先生

放送日: 2008年1月5日~2008年3月29日   制作会社: シャフト
キャスト: 神谷浩史、野中藍、井上麻里奈、谷井あすか、真田アサミ、小林ゆう、沢城みゆき、後藤邑子、新谷良子、松来未祐、上田燿司、水島大宙、矢島晶子、後藤沙緒里、杉田智和、寺島拓篤、子安武人
(C) 久米田康治・講談社/さよなら絶望先生製作委員会

巨人の星

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放送日: 1968年3月30日~1971年9月18日   制作会社: 東京ムービー
キャスト: 古谷徹、加藤精三、白石冬美、井上真樹夫、八奈見乗児、兼本新吾
(C) 梶原一騎・川崎のぼる/講談社・TMS

アニメンタリー「決断」

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放送日: 1971年4月3日~1971年9月25日   制作会社: タツノコプロ
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(C) タツノコプロ

ヤッターマン

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放送日: 2008年1月14日~2009年9月27日   制作会社: タツノコプロ
キャスト: 吉野裕行、伊藤静、たかはし智秋、小原乃梨子、八奈見乗児、たてかべ和也、滝口順平、山寺宏一
(C) タツノコプロ・読売テレビ 2008

破裏拳ポリマー

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放送日: 1974年10月4日~1975年3月28日   制作会社: タツノコプロ
キャスト: 曽我部和恭、青野武、落合美穂、雨森雅司、たてかべ和也
(C) TATSUNOKO PRODUCTION. All rights reserved.

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放送日: 1978年6月3日~1979年3月31日
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(C) 創通・サンライズ

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