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中国のアニメ配信環境の変化、今度はショートアニメへの大きな影響が?
常に何かしら新たな動きがある中国におけるアニメ配信ですが、最近ではYoukuTudouが新作アニメの「広告なしでの配信」を本格的に打ち出してきたことが目に付きます。
この変化については30分枠ではないショートアニメの配信に対する影響が特に大きいのではないかという見方もあるようです。
以前のコラムでも書きましたが、中国の動画サイトの特徴として無料視聴の場合は動画再生の際に挟まれる広告が長く、アニメの視聴者も広告に対する不満が非常に強いという点があります。また有料会員になることで広告なしの快適な環境で視聴できる……というのが一般的な商業モデルとして確立されていました。
しかしその広告のせいで、日本のアニメ視聴者には
「頻繁に見せられる広告が鬱陶しい」
「1話ごとに入る広告を考えると本編の短いアニメを見るのは損している気がする」
などの理由から30分枠ではない、ショートアニメを敬遠する人も出ていたそうです。
このような状況の中、これまでbilibiliだけが基本的に広告なしでのアニメ配信を行っていたことは、同サイトの動画に付く弾幕コメントの質の高さとともに極めて強力なアドバンテージとなっており、特にショートアニメにおいては独壇場と言ってもいい状態だったそうです。
例えば「斉木楠雄のΨ難」は最近中国のオタク界隈で人気、話題性ともに好調な作品で、中国の動画サイトでは短編分割版と一括版の両方が配信されていますが、おそらくその中でもっとも好調なのはbilibiliで配信されている短編版だという話です。
また中国の動画サイト視聴者の感覚では、
「30分のアニメは長すぎる、十数分のショートアニメの方が快適に楽しめる」
といった考えもあるそうです。
これに関しては私も中国の動画サイト関係者の方から
「視聴者が集中して見れるのは15分程度が限界なので、その程度の長さの作品にするのがよい」
といった認識に関する話を実際に聞いたことがあります。
中国ではショートアニメの中からネットで話題に火が付いて人気になる作品も少なくありませんし、今後30分枠でないアニメが中国における人気や配信の動向も気になるところです。
中国関係の新作アニメとその周辺について
日本で放映されている10月の新作アニメの中には中国国産作品を原作とするアニメや、中国の資本が入っている作品など、中国関係の作品が5作品ありますが、「雛蜂」や「霊剣山」から始まった、日本と関係のある中国系アニメの動きがまた新たな段階に入ったようにも感じられます。
これらの作品の日本展開も面白い動きですが、中国のほうの状況を合わせてみるとまた興味深いところがあります。
現在、中国の国産アニメに関してはテンセント一強状態ですが、今期日本に入ってきた作品にはbilibiliやYoukuTudou、PPTVといった中国の動画サイトが関わっていたりするなど、テンセント以外の動きも目に付きます。またこれらの作品は配信されるサイトや、配信サイトごとの配信開始時間にハッキリとした違いがあるなど、これまでとは異なる流れも出てきているようです。
以上のように、今期も中国では日本のアニメの配信環境や、新作アニメの獲得などさまざまな部分で新たな変化が起こっている模様です。
(文/百元籠羊)
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