soiboshiさんの評価レビュー

原作が外伝を合わせて４冊しかない作品を、
TVアニメとして実に上手に組み替えたなぁというのが、
最終回まで視聴しての率直な感想です。
原作はもちろん揃えましたよ。
アニメ作品にハマったときのパターンです。

マリアやジョセフなど中心人物に重きを置いて進めるのではなく、
時代背景の絡んだエピソードを挟み、オリキャラを入れることで
世界観を広げ、深めてくれているところは高評価できるところで
あり、評価の分かれる諸刃の部分ですね。

ベルナールやガルファの存在は、マリアの居る世界をより
明確にして、作品を引き締め、引き立ててくれており、
オリキャラ投入の成功例であると感じました。
エドウィナの使い魔とジルベールのエピソードは
意外性があり、楽しめました。

戦云々よりも人物の心理描写を好む個人的な意見としては、
もっとマリアやビブといった中心人物たちの描写が多いほうが
ありがたかったのですが。

『純潔のマリア』という作品タイトルから、
ああ、純潔にちなんだドタバタアニメなんだろうなぁと
視聴するまえは思い込んでいたのでしたが、それだけじゃなく、
確かに下ネタは随所にあったけれども実に明快で、
あっけらかんとして楽しく笑えるように描かれることが多く、
いい作品に出会えたことが、今ではとても嬉しい。
食わず嫌いはいけないですね。

ちょっと残念な点は、アニメとして判りやすい見せ場を作るために
だと思いますが、マリアやジョセフの描かれかたについて、
性格や行動パターンがかなり原作とは離れていたところ。

ことに最終回に関しては、展開の派手さに終始している印象
があり、マリアとジョセフ、ミカエル、エゼキエルの
大切な見せ場が派手さに隠れてしまっていました。

天のありようについて結論したマリアとミカエルの対話、
そしてエゼキエルの堕天は、作品のクライマックスとして、
作品の大きなテーマとして、もっとしっかりと描写するほうが
よかったのではないかと考えます。

とはいえ、今期１位２位を争う良作品でした。
もっと評価されてもいいのではないでしょうか。
そういう魅力ある作品だと思います。