ガンダムビルドファイターズはガンダムという凝り固まったファン層に向けてコロニーレーザーのように放たれた画期的なアニメである。今までのガンダムアニメは良くも悪くもガンダムとはかくあるべきというお約束、もしくはそのお約束をいかにして破るかという製作者側と視聴者側との騙しあいの様相を呈していた。やれ、ガンダムとはかくあるべき、こんなものはガンダムではない、ガンダムという冠がなければありだが…そんなレビューをネットであなたは一度は目にしたことはないだろうか?
アニメに限らず、製作物というものは、本来は作り手が何らかのメッセージやとりあえず俺はこういうのが作りたいんだ!という情熱がまず根幹にある筈であるが、昨今のガンダムアニメは、ガンダムというシリーズの大きな呪縛に縛られ大きく冒険出来ていなかった。(個人的に一番冒険したと思っているのはやはりGガンダムであり、次点としてはガンダムの終わりの物語であるターンAガンダムであろう)
ガンダムビルドファイターズは製作者が、ごたくはいいから俺はこのMSを動かしたいんだよ!という俺ガンダムが前面に押し出された非常にエゴイスティックな作品である。だが、エゴイスティックである反面、それが非常に高度なMS戦闘という動きに昇華された時、視聴者はこれだよこれが見たかったんだよという感動すら覚える。作品としてはストーリーはありきたりで、ご都合主義で、凡庸かもしれない。人によってはガンダムという名前を~というかもしれない。だが、大声でこういおう。だからどうした、と。ビルドファイターズは子供の為の作品だ、だが、同時に製作者のガンダムに対する愛情はアラサー、アラフォーに到達しようとしているガノタの心に鋭く突き刺さる。この作品はガンダムの次の10年、20年後を考えた時こそ評価される作品なのである。
[2014-04-19 19:23:43]