坂本夏樹さんの評価レビュー

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そういうふうにできている

観賞手段:動画サイト
卒業や進学を街の流れに感じる
この時期にいつも思い出すのが、
「とらドラ!」の最終話。
とびきりに綺麗な物語の閉じ方、
登場人物への感情移入、
二次元の壁を超えた喪失感、
こんなにも多様性に富んだ「泣ける」を
孕んだラストシーンを、
僕はまだ他に知りません。

今見返しても、今期のアニメの一つと言われても
おかしくない作画力の高さに驚きます。
一瞬の表情の揺らぎの織り交ぜに、
サブリミナル的に心が震わされていたのだと
改めて気付かされました。
2024年の現代における最新の技術です、
と言われても、凄い!と
感心してしまうであろうに、
これが15年前の作品であるという事実には
畏怖をも覚えるほどです。

テーマ曲達も同じように
エバーグリーンな輝きを放っています。
中でも「オレンジ」は、
原作発表15周年記念スペシャルPVが
制作されたことからも、
特に人気があることが伺えます。
僕も、アニソンという枠をとりはらった
純粋な音楽としても、とても好きな曲です。

メロ、アレンジ、歌唱が、
歌詞の、一文字一文字が一番届くようにを
念頭に組み上げられていると
感じてしまいます。
しかもその歌詞が、
物語の直接表現を避けているのに
どうやっても登場人物の情景が
思い浮かんでしまう
とても詩的な仕上がりになっていて、
ED映像とはまた別に、その話その話で、
印象的なシーンが脳内再生されてしまいます。
ED曲だからこそ出来る余韻の演出の
最高到達点の一つであると思います。

新学期や、これからの新しい環境に
軽やかな一歩踏みだしたい、
そんな時には「とらドラ!」で
一度全て出し切ってまっさらにしてみるのは
どうでしょうか?
プロレビュアー
坂本夏樹
坂本夏樹
ストーリー
5.0
作画
5.0
キャラクター
5.0
音楽
5.0
オリジナリティ
5.0
演出
5.0
声優
5.0
5.0
満足度 5.0
いいね(1) 2024-03-30 00:30:37

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