宮崎さんの作品で久々にグッと来た。観る人を選ぶ良作
観賞手段:劇場
ついに見に行ってまいりました。「風立ちぬ」。
感想をひと言で言うなら、実に素晴らしい作品だと思います。戦前の日本を描いた作品は(セロ弾きのゴーシュとかは除いて)宮崎さんとしても初めてだと思いますが、実に鮮やかな日本の風景はさすがとしか言いようがありません。
そして何と言っても、これこそ宮崎駿の真骨頂だと思いますが、飛行機の描き方が実に旨い! 宮崎さんの飛行機へのただならぬ愛を感じます。「夢の中」という設定ではありますが、イタリアの航空機設計者カプローニが出てきたり、第二次世界大戦時に爆撃機で有名になったユンカース社のユンカース博士が出てきたり、ある程度航空機や戦争のことを知っている人なら、思わずにやりとしてしまうシチュエーションがたくさん出てきます。もちろん、この作品のテーマは「零戦」の設計にあるわけで、そこにかける設計者の思いや背景などを知るという点でも、本作は非常に優秀なドキュメンタリーとしての意味を持っています。このマニアックな部分は、観る人を選ぶなーと。
微妙なのは、そこに「風立ちぬ」というタイトルからもわかるように、堀辰雄の話を混ぜ込んでしまったことかなとも思いますが、そのおかげで、ただの零戦設計の話にならず、悲恋の恋人というテーマが肉付けされて、「生きねば。」という本作のテーマにつながっていきます。このあたりの構成・演出はおそらく賛否両論でしょうが、海外などで上映されることを考えると、これくらいの脚色をしたほうが、ウケがよさそうですし、ストーリーとしてはやっぱりそこで泣けてしまいます。
問題は、やはり声優で、やはり庵野監督の起用は失敗だったんじゃないかと思います。逆にいえばそこさえちゃんとしてもらえれば、満点つけてもいいくらいのいい作品に仕上がっていると思いました。そこだけ厳しく評価させてもらいました。
- ストーリー
- 4.5
- 作画
- 5.0
- キャラクター
- 4.5
- 音楽
- 4.5
- オリジナリティ
- 5.0
- 演出
- 4.5
- 声優
- 3.0
- 歌
- 4.5
満足度
4.5
いいね(1)
2013-07-29 19:22:03